第9章 努力は必要ない

努力は義務ではない。自ずと動きたくなるときだけでいい。その姿勢こそ、人生を軽やかにしていく。

「努力は必ず報われる」
「努力しない者に成功はない」
こうした言葉を、私たちは子どものころから幾度となく聞かされてきました。
努力をしないと不安になる。
怠けていると後れを取る気がする。
そんな“義務としての努力”が、どれほど人の心を縛ってきたことでしょう。

しかし、ここで問い直したいのです。
努力とは、しなければならないものなのでしょうか?

私たちは、自分の意志で動いているようで、実際には多くの「やらねばならない」に取り囲まれています。
その結果、心の声を押し殺して、ただ「すべきこと」をこなす日々に陥ってしまうのです。

でも、本当に意味のある行動とは、
“努力しよう”と思わずとも、自然に身体が動いてしまうようなものではないでしょうか。

たとえば、大切な人にプレゼントを選ぶとき。
あの人が喜ぶ顔を想像して、時間をかけてお店を巡ったり、手紙を添えたりするでしょう。
けれどその行動を、誰も「努力」とは感じません。
なぜなら、それは**“したくてたまらない”行為**だからです。

この章で伝えたいのは、
“したくてたまらない”という内なる動きこそが、人生を最も美しく導く原動力だということです。

外からの義務感や評価ではなく、
内側から自然と湧き上がるエネルギー。
それがあるとき、人は何にも勝る集中力と継続力を発揮します。

世界的有名な野球選手が野球をするのは、誰かに「やれ」と言われたからではありません。
ただ、好きで、やりたくて、夢中になっているだけなのです。

私たち一人ひとりも同じです。
誰かのように努力しなければ、というプレッシャーは不要です。
あなたが“今この瞬間にやりたくて仕方ないこと”こそが、
本当の意味での「価値ある行動」なのです。

そして、“何もしたくない日”があるのもまた自然です。
動けない自分を責める必要はありません。
なぜなら、その停止すら大いなる方の計画の一部であり、
ただ次の“動きたくなる”タイミングを静かに待っているだけなのです。

努力しないと置いていかれる?
大丈夫です。あなたはどこにも置いていかれません。
努力しなくても、あなたは十分に価値があり、尊い存在です。
そして本当に必要なときには、ちゃんと動きたくなるように“仕組まれて”います。

だから、もう無理に頑張らなくていい。
ただ、心が動くときに動けばいい。
そうするだけで、人生は驚くほど軽やかになっていきます。

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