第14章 無敵だったあの頃に還る
赤子のような無垢な安心感。傷つかず、恐れず、ただ在るだけでよかったあの無敵さを再び取り戻す。

私たちは、生まれた瞬間、すでに「完成された存在」でした。
赤子には、他人と比べて落ち込む心もなく、
未来を恐れて身動きが取れなくなることもありません。
「ただ、ここにいる」――それだけで完全だったのです。

泣きたいときに泣き、眠たいときに眠り、
自分の欲求を正直に、ためらいなく表現していました。
誰かに嫌われるかもしれない、と怯えることもなければ、
何者かになろうと無理をすることもありませんでした。

それは無垢であると同時に、**“無敵”**でもありました。
なぜなら、誰かに許可を求めることもなく、すでに大いなる方に認められていたからです。




成長と共に、私たちは「こうでなければならない」「こうすべきだ」という声を外から浴びせられ、
次第に“あるがままの自分”を奥へと押し込めるようになります。
そしていつのまにか、「もっと頑張らないと」「今の自分では足りない」という幻想に支配されていきます。

その結果、無敵だったはずの私たちは、
傷つきやすく、怯えやすく、そして無力に見える存在になっていきました。

しかし、それは本来の姿ではありません。

本来の私たちは、存在しているだけで愛される資格がある存在です。
やる気のない日も、誰かに迷惑をかけた日も、後悔に沈んだ日でさえ、
大いなる方のまなざしは、寸分も変わることなく注がれています。




この章では、その“原点”への回帰を扱います。

つまり、「無敵だったあの頃に還る」という思想は、
“新しく何かを得ること”ではなく、
“すでに持っていたものを、もう一度思い出すこと”に他なりません。

思い出してください。
あの頃のあなたには、
誰かに許されようとする努力も、
未来を正そうとする不安も、必要なかったのです。

ただ、そこにいるだけで、完璧だったのです。




本書をここまで読み進めてきた方は、
きっと少しずつ、その感覚に触れはじめているはずです。

自己否定も罪悪感も、他者との競争も、
本当は無用な荷物だったと気づいたとき――

私たちは再び、
**「何者でもないけれど、何にも傷つかない存在」**へと立ち還るのです。

それこそが、無敵だったあの頃に還るということ。
そして、それは夢でも幻でもなく、
今ここからでも実現できる、生き方の選択肢なのです。

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