1. 後天的感情とは何か
私は最近、新しい言葉を発明しました。
その名も 「後天的感情」。
これは、生まれつき備わった本能的な感情(先天的感情)ではなく、
経験や教育、文化的刷り込みによって後から獲得される感情のことです。
例えば「空が美しい」という感情。
これは本当に生まれつき誰もが持っているのでしょうか?
それとも、後からインストールされた感情なのでしょうか?
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2. 子供のころ、空は「背景」だった
私自身の経験では、子供のころに空を見て「美しい」と思ったことは皆無でした。
むしろ空はただの背景で、見ようとすらしなかった。
しかし大人になった今、空を美しいと感じることがあります。
これは、かつて苦くて飲めなかったビールが、大人になったら旨いと感じるようになる現象に似ています。
つまり、感情が後天的に編集された結果、空が“主役”に昇格したわけです。
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3. 「抗えない錯覚」としての美しさ
一度「美しい」と感じてしまえば、それが後天的であれ錯覚であれ、抗うことはほぼ不可能です。
脳は感情を先に発火させ、後から理屈を付けて正当化します。
そして社会も「空は美しい」という価値観を後押しするため、その感情はますます確固たるものになります。
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4. 仮想実験:空を「汚い」と教えられたら?
では、この感情が後天的であることを証明するために、次のような仮想実験を考えます。
> ある赤ちゃんに対し、教育者がこう教える。
「空は汚いものだ。水色は有害な色で、空気を吸えば寿命が縮む。
だからあなたは家の中で綺麗な空気だけを吸って生きなさい。」
この子は成長しても、空を「美しい」と感じることはありません。
むしろ恐怖や嫌悪を抱くでしょう。
つまり、空の美しさは後天的に作られた感情であり、逆方向に刷り込むことも可能なのです。
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5. 現実世界の実験結果
実は、日本社会全体が「空は美しい」という刷り込み実験を何世代にもわたり行っています。
文学、音楽、映画、観光ポスター…どれも「青空」「夕焼け」「星空」を美しいものとして描き続けてきました。
結果、日本人の多くは自然に空を美しいと感じるようになっています。
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6. 結論
空の美しさは、生まれつきの本能ではない。
教育・文化・経験というプログラムによって後天的に獲得された感情である。
そして一度「美しい」と感じれば、それは錯覚であっても絶対的な感情として揺るがない。
このように、「後天的感情」という言葉は、
空の美しさのように文化や経験によって形づくられる感情全般を指す、シンプルで強力な概念です。
後天的感情という概念の発明〜空が美しいと感じるのは生まれつきなの?

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